真茶園
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お茶の豆知識

お茶屋が教える新茶の魅力

そもそも新茶って?

通常農作物は、栽培した実や葉を、そっくりそのままいただきます。りんごやみかん、キャベツやホウレン草……収穫するときは手にズッシリという感じですよね。

でも、お茶の場合はちょっと異なります。摘採(収穫)するのは『新芽』のみ。芽吹きの時期を迎えた時、その樹の、先の部分だけを手や機械で摘み取り、加工を施してお茶となります。
なので、ズッシリというよりも、手のひらにスッポリというイメージでしょうか。どれも皆、小さなかわいい芽ばかり。大事に、大事に、いただかなくては……と思う瞬間でもあります。

そしてその摘採が、最大で年に4回行われ、春から順に、一番茶・二番茶・三番茶・四番茶と呼ばれます。
つまり、1年に4回、新茶の時期があるということになるのです。
旬が4回!
他の農作物の旬は、年に1回。お米でも、年に2回。それに比べると、4回の旬はちょっと得した気分かなと思います。

新茶の特長

先ほど、一番茶~四番茶までの種類があり、1年に4回、新茶の時期(旬)があると書きました。
それはその通りなのですが、旬のものという意味とは別に、『初物』という意味で『新茶』が使われることもあります。

初物とは、1年で最初に摘まれるものということ。つまり、一番茶だけを指す、ということになります。
そしてこの場合の新茶は、縁起を担ぎ、健康や長寿への願をかける、そういった役割を担います。

新茶とは、大事な方に飲んで欲しいと買ってきたり、贈ったりすることにとても相応しいもの。これからも続いて欲しい、日本文化のひとつと言えるのかもしれません。

八十八夜とは?

♪ 夏も近づく八十八夜
♪ 野にも山にも若葉が茂る
♪ あれに見えるは茶摘みじゃないか……という歌がありますよね。
茶畑とは縁のない地域の方であっても、聞けばどこかしら郷愁を誘う、そんな歌です。

ところで、この歌に出てくる『八十八夜』って、いつ頃かご存じですか?
スタートとなるのは立春。そこから数えて88日目の、5月の2日頃。この辺りが、毎年八十八夜となってきます。一番茶の時期ですよね。
そして歌にもあるように、茶摘みがはじまるのです。

この八十八夜の頃は、春から夏へ変化を迎える時期となります。霜が降りなくなり、気候も穏やかで、農家では稲の種まきが行われるなど本格的な始動のタイミング。そこに一番茶の時期も合わさって、「八十八夜に摘まれたお茶を飲めば、病気にならない。縁起がいい。」とされています。

新年を迎えたら初詣に行くように、5月になれば八十八夜茶を飲み、一年の健康を願う。そんな味わい方を楽しんでもらえたらと思います。

一番茶から四番茶について

「一番茶~四番茶って、摘採の時期が違うだけでしょ。同じ茶畑なんだから、どれも同じ味なんじゃない?」と思われるかもしれませんが、それは違います。
季節が茶樹に与える影響はとても大きく、摘採時期により、栄養素にも味にも、大きな変化をもたらします。
それぞれの特長について、見ていきましょう。

<一番茶>

摘採時期は、4月の終わり~5月上旬にかけて。
秋からの養分をしっかりと貯えているため栄養価が高く、うまみ成分であるアミノ酸もたっぷりの、美味しいお茶が取れます。
また、若葉特有の爽やかで清々しい香りがあり、よりいっそう、美味しさに輪をかけてくれるでしょう。
そのため、この時期に摘採された茶葉は珍重され、高級茶として分類されます。八十八夜茶も、この時期に摘採されたものとなります。

<二番茶>

摘採時期は、6月中ごろ~終わりにかけて。
一番茶に比べてカテキンが多いため、苦みの強い、キリリとした味わいの茶葉となる時期です。
カテキンには、抗酸化作用があります。カラダの不調を防ぐ効果が期待できますので、健康維持を考え、好まれる方も少なくありません。
また、どうしても苦みが気になる場合には、淹れる温度を低めにすることで若干抑えることも可能です。
ただし、うまみ成分であるアミノ酸は、一番茶よりも少なくなってしまいます。
用途に応じて選ぶといいでしょう。

<三番茶>

摘採時期は、7月の終わり~8月上旬にかけてとなるのですが、三番茶の摘採は、茶の木の状態に沿って行われるものであるため、できる茶園が限られています。すべての茶園で、必ず行われるものではありません。
この時期に摘採された茶葉は香りが少なく、商品価値は低いとされますが、カフェインの量が少ないことから、お子さま用、もしくは就寝前にいただくお茶として、好まれる方もおられます。

<四番茶>

摘採時期は、9月の終わり~10月上旬にかけて。
アミノ酸・カテキン共に含有量が少なく、お茶の品質としては劣ってしまうのですが、昨今の研究により、血糖値を下げる働きのあるポリサッカライドという成分が多く含まれていることが分かり、注目を集めています。

新茶の魅力について

いかがですか?新茶の魅力、お分かり頂けたでしょうか?
お茶は「〇番茶だから優れている」という選び方をするよりも、特長を理解し、時と場合に応じてご自身で選んで飲むことが、楽しさのひとつではないかと思います。

摘採時期にも、うまみや苦みにも、すべて意味があります。
お好みやカラダの状態に照らし合わせながら、健康に考慮した味わい方を、ぜひ身につけてくださいね!