



お盆が近づくと、家の空気が少しだけ変わります。
「そろそろ着くよ」という家族のために玄関を掃き、座布団を干し、いつもより丁寧に部屋を整える。冷蔵庫には、いつもとは違う果物やお菓子がぎっしり!心が弾みますよね。
昔は毎日のように顔を合わせていた家族も、進学や就職、結婚をきっかけに、皆がそれぞれの暮らしへ。年に一度、お盆だけが会うタイミング…というご家庭も少なくないでしょう。
だからこそ、その再会を特別なものに!
豪華なお料理ももちろん嬉しいものですが、お茶屋さんである真茶園としては、「暑かったでしょう」と手渡す一杯の冷たいお茶に、「待っていたよ!」という気持ちを込めたいと思っています。
長い道のりを車できたり、新幹線や飛行機を乗り継いできたり、照り返しの強いアスファルト道を歩いてきたり…。夏の移動は、それだけで体力を使います。
だからこそ、「まずはお茶でもどうぞ」と差し出す冷茶に、しっかりと愛情を込めたい!
グラスを持った時に伝わるひんやり感。
口に含んだ時の清々しい香り。
喉を通り抜ける心地よさ。
その一杯が、疲れを一気にほどきます。そして、お茶を飲み終えた頃には、「元気だった?」「今、こんなことしててさ…」と、自然な会話がスタート。お茶は、主役ではないけれど、人と人の間を優しくつなぐ。そんな存在だと思うのです。
だから私たちは、お客様を迎える「最初の一杯」を大切にしたいと思っています。
おもてなしは、”味”だけではありません。
だって、「わあ、きれい!」というひと言が聞けたなら、お茶の時間はもっと楽しくなるはずだから!
そのためにオススメしたいのは、透明なグラス。
透明だと、鮮やかな緑色の冷茶を注ぐだけで夏の景色が完成!これは欠かせません。
そして、もうひと手間。氷にも、遊び心を添えてみましょう。
例えば、小さなミントの葉や、庭で育てたレモンバーム、ほんの少しの金箔などを入れ、氷を作っておきます。そして、冷茶にイン!すると、より華やかに。そして、特別なおもてなしの心が伝わる、素敵なひとときを作り出してくれます。
また、これは見目だけでなく、氷が溶けることで閉じ込められていた小さな彩りや香りが姿を現し、いつもと違った風情も感じさせてくれる小ワザです。
むずかしいことではありません。
手間もそれほどかかりません。
ほんのちょっとの工夫が「歓迎しているよ」の気持ちを伝えてくれるので、これはホントにオススメです。
真茶園は、お茶を製造・販売する仕事をしています。
そんな私たちがお客様に言っていただき嬉しい言葉は、やはり「美味しいね」のひと言。
それが聞きたくて、日々、がんばっています。
そして、その言葉は面白いもので、誰かが「美味しいね」と呟けば、「私も貰おうかな」「わたしも、もう一杯」と続いていき、気づけばみんなでお茶を楽しんでいるという、魔法の言葉。
そんな光景を見るたびに、“お茶には人々を惹きつける力がある”んだなぁと感じます。
お茶は、喉を潤すだけのものではありません。
誰かと一緒に味わう時間そのものが、思い出になるのではないでしょうか。
緑茶というと、温かいお茶を思い浮かべる方も多いかもしれません。
食後の温かいお茶などは、季節関係なく美味しいものですよね。
けれど、やはり暑さの厳しいお盆の頃には、冷茶だからこその魅力があります。
冷茶にすることで、お茶の甘みや旨みがより引き立ち、冷たさが、飲むたびにすっと体に染み込んでいくような感覚。ジュースや炭酸飲料とは異なる静かな涼しさで、冷たくても体がほっとする。そんな、感じ。
冷茶には、日本の夏らしい風情が詰まっているように思います。
江戸より続く、真茶園。私たちは長年、お茶を扱ってきました。
その中で感じるのは、「おもてなしとは、高価なものばかりを用意することではない」ということ。
相手を思いながらグラスを選んだり、冷茶用の氷を用意したり。
そして、「この人は濃いめが好きだったな」と淹れ方を変えるなど、工程の一つひとつに相手を想うこと。それこそが、おもてなし。
お茶を淹れることで、そうした心遣いを静かに伝えることができます。だからこそ、日本では昔から、お客様を迎える時に”まずお茶をお出しする”文化が、育まれてきたのだと思います。
一杯のお茶で、言葉にしなくても伝わる優しさを伝えていって欲しいと思います。
最近は、誰もが忙しく暮らしています。
スマートフォンには次々と通知が届き、食事も短時間で済ませることが珍しくありません。
だからこそ、お盆くらいは少しだけ”時の流れ”を忘れて欲しい。
お茶を淹れ、味わう。グラスについた水滴を眺めつつ、「そういえばね」と話に花を咲かせる。それこそが、本当の贅沢。
そして何気ないその時間を、きっと来年も、そして数年後、思い出すことでしょう。
「去年も、たしかこの席で話していたね」なんて思い出話しが、お盆の醍醐味。
お茶のある風景を、いつまでも覚えていて欲しい。
そんな思いを込めて、皆さまの元へお茶をお届けしています。
帰省は、ほんの数日。楽しい時間ほど、あっという間に過ぎ去ってしまいます。
「また来年も集まろうね」という約束が生まれるのは、豪華なごちそうがあったからなのではなく、笑い合ったこと、ゆっくり話せたこと、そして、何気なく飲んだ一杯のお茶が美味しかったことにあるのではないでしょうか。
今年のお盆には、ぜひ、冷たい一杯の緑茶をご用意してみてください。
この夏の再会が、笑顔あふれるひとときになりますように。
そのそばに、真茶園の美味しい冷茶がありますように。