真茶園
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お茶の豆知識

これで安心!新茶の保存方法

さあ、そろそろ新茶の季節!
清々しい香り、爽やかな風味。一年に一度しかないこの時期を、心ゆくまで楽しんで欲しい!
そこで、新茶の美味しさをより長く味わって頂けるよう、今回は『新茶の正しい保存方法』について、お話したいと思います。

新茶と緑茶、その違い

まずは『新茶』を知って欲しい!
ということで、『新茶とは何?』について、少しご説明をいたします。

新茶と緑茶、葉も同じですし、生産地も同じ。
では、何が違うのか。
違いは、“収穫の時期”です。
茶葉の収穫時期は1年に2~4回あり(茶農家により異なります)、その中で一年の最初に摘まれる新芽、これが『新茶』と呼ばれます。
ちなみに新茶は一番茶とも言い、それに続いて、新茶の次に摘まれる茶葉を二番茶……というように呼んでいきます。

ところで、『茶摘の歌』はご存じでしょうか。茶摘みの光景を歌ったうたで、明治45年の教科書には既に載っているという、古い唱歌です。手遊び歌として認識されている方も多いかもしれません。
この中にある、「夏も近づく八十八夜~♪」という部分、これこそが新茶のタイミング!立春から数えて88日目ということになり、毎年5月の初旬が新茶の時期にあたります。
そして今年の88日目は、5月1日!もうすぐですよ!

新茶は他と何が違うのか?

新茶と緑茶、「茶葉は同じである」と書きました。
しかし、『新茶と緑茶の成分は異なる』というのが、緑茶の面白みであるといえるでしょう。

新茶には、アミノ酸の一種であるテアニンが、二番茶以降の緑茶より多く含まれています。というのも、テアニンは多く日光に当たるとカテキンに変化する性質を持っているため、後々に摘まれる茶葉においてはどんどん少なくなってしまうのです。
つまり、テアニンの状態で摘まれる新茶と、カテキンに変化した後に摘まれる二番茶とでは、成分と味が大きく異なってくるというわけなのです。

新茶の若々しく青々しい新鮮な香りと旨み、そして甘味は、新茶だけのもの。他の時期の緑茶では味わえない、特別感ある味わいです。
今だけの味を、ぜひ、楽しんで欲しいと思います!

テアニンとカテキンの違いとは…

テアニン
旨味成分です。リラックス効果や、睡眠の質を改善させる働きがあります。新茶を飲むとホッとするのは、テアニンの働きもあるでしょう。

カテキン
渋み成分です。抗酸化作用や抗菌作用があります。緑茶うがいが喉に良いのは、カテキンの働きによるもの。二番茶の力も、すごいのです。

新茶は、正しく保存しましょう

新茶は、とてもデリケート。せっかく美味しい新茶を手に入れても、保存方法が悪ければ、風味はどんどん損なわれてしまいます。
それではもったいない!
ということで、新茶の正しい保存方法について、お伝えいたします。

気を付けて欲しいのは、以下の4つ。

・空気
・光
・ニオイ移り
・湿度

それぞれについて、解説していきますね。

空気
新茶の青々した心地いい香りは、青葉アルコールとも呼ばれるほど揮発性の高いもの。開封した瞬間から抜けていってしまいます。そして香りが抜けると、もちろん味にも影響が……。
できるだけ空気に触れない環境を作ることが大切です。
そこで用意して欲しいのが、中ブタのある茶筒。また、サイズ感も茶葉の量に合わせて大きすぎない方が、より品質が保ちやすく、お勧めです。


新茶は大変光に弱く、直射日光のみならず、蛍光灯の光でも酸化が進み、栄養素が破壊されてしまいます。すると、味も色も変わってしまい、新茶の美味しさが失われてしまうことに……。
茶筒に入れた後は、温度変化が少ない冷暗所での保管を行いましょう。

ニオイ移り
茶葉は、周りのニオイを吸収しやすい性質があります。そのため、香りの強い物の側においてはいけません。冷暗所で保管する際、近くに香辛料や洗剤など香りの強い物がないかの確認が必要です。
また、冷暗所ということで冷蔵庫での保管をされる方もおられるのですが、冷蔵庫にはニオイの強い食材が密閉されている状態で入っていることから、茶葉の保管場所には不向きなので注意しましょう。

湿度
茶筒で保管をしても、お茶を淹れる際の出し入れで、どうしても湿気は侵入します。
対策としては、脱酸素剤を使うこと。また、密閉できるタイプの袋を併用するのもお勧めです。

 

以上を守って保管し、1か月以内には飲み切るようにしてください!
新茶を美味しく飲むためには、正しい保管と1か月が目安です!

 

— 未開封の場合には —
未開封であれば、冷蔵庫や冷凍庫での保管も大丈夫です。
ただし、ニオイ移りをしっかりと防ぐために、袋ごとラップで包み、さらに密閉できるタイプの袋に入れた上での冷蔵庫・冷凍庫保管をします。
そして、「さあ、飲もう!」と開封する際には、『常温に戻す』というひと手間をお忘れなく。というのも、いきなり開封してしまうと温度差で水滴が発生してしまい、それを茶葉が吸収したとたんに鮮度が損なわれてしまうのです。ラップをしたり、密封の袋に入れるなど、しっかりとかけた手間が意味の無いものになってしまってはいけませんよね。
冷蔵庫・冷凍庫から出した後は、『封を切らないままでまずは常温に戻す』という手順、これは必須ですよ!
また、冷蔵・冷凍保管であっても、6か月ほどでは飲み切るようにしてくださいね。

 

2024年、適度な降雨により順調な生育状況となり、皆様に喜んで頂ける美味しい茶葉がすくすくと育っています。
2024年の新茶の出荷はもうすぐ。
予約は、もう始まっています!
今年の新茶、今だけの味を、ぜひお試しください!
ホッとできる春の味を、ご堪能いただけましたら幸いです。