真茶園
真茶園

お茶の豆知識

時を経て変わった、お茶の淹れ方

日本へお茶を伝えたのは、その昔の中国より。
それぞれ異なるお茶の淹れ方が、3度伝わっていると言います。
今回は、中国より伝わったお茶の淹れ方、その変化について見ていきましょう。

遣唐使が伝えた中国茶の淹れ方とは

お茶が日本へ伝えられたのは、8~9世紀のこと。中国(唐)へと渡った留学僧(遣唐使)が、中国の寺院で飲まれていた茶を日本へと伝えたのが、初めての喫茶の風習と考えられています。
そして当時のお茶は、『煎茶法(せんちゃほう)』と呼ばれる淹れ方であり、今とは方法が異なっていました。
(現在の「煎茶」とは意味が異なります。別物と考えておきましょう)

煎茶法とは
湯を沸騰させ、その中に茶葉(もしくは茶の粉)を入れ、グツグツと煮出してお茶を淹れる方法です。
この方法だと高温でお茶が淹れられるため、高温で抽出される性質を持つカフェインやカテキンがより多く茶葉から煮出されることとなります。つまり今よりも、苦みや渋みの強いお茶だったことが想像されます。

明菴栄西が伝えた新しい中国茶の淹れ方

宋の時代(日本では鎌倉時代)、中国より帰国した明菴栄西(みょうあんえいさい)が、当時の宋で飲まれていた『点茶法(てんちゃほう)』によるお茶の飲み方を、日本へ伝えます。
当時の日本では、仏教儀礼においてお茶が使用されており、武士や貴族の間では「闘茶(とうちゃ)」が流行り、庶民にもどんどんお茶が普及していく時代となっていました。

そして明菴栄西は、建保2年(1214年)に日本最古の茶書とされる『喫茶養生記(きっさようじょうき)』という書物をしたためます。
書の中で明菴栄西は、茶は万病の仙薬だと説き、茶の栽培・製法・飲用法・効能など、自らが研究した成果をまとめています。
『喫茶養生記』は、茶の歴史においてたいへん重要な書物と言えます。

点茶法とは
容器に粉末の茶を入れ、湯を注ぎ、頂きます。
現在の抹茶に通じる飲み方と言えます。

明に伝えられた中国茶の淹れ方

そして三度目となる中国茶の淹れ方の伝来は、江戸時代の初め。明の時代の中国で飲まれていた『淹茶法(えんちゃほう)』という飲み方が、日本へ伝わることとなりました。
また、茶葉の製法として『釜炒り』や、お茶を飲むための道具である『急須』が伝わったのも、この時期となっています。
ただし、その後の日本において、加熱方法を釜炒りではなく、蒸す方法へと改良させることに成功します。
これにより日本のお茶は、鮮やかな緑色と豊かな香りを手に入れることになりました。

淹茶法とは
急須などに茶葉を入れて湯を注ぎ、染み出たエキスだけを飲む方法。
今と同じ淹れ方です。

お茶の淹れ方はいろいろあるけれど

世界では、いろいろな国で様々なお茶が飲まれています。
日本の緑茶、イギリスの紅茶、インドのチャイ、中国の烏龍茶……。
みなそれぞれに淹れ方があり、多くの人に楽しまれています。
もちろん、時を経て変化していく部分もあります。
その時々で、お茶を楽しみながら味わって欲しいと思います。